最近、読んだ本がすごくよかった!
若林 正恭さんの紀行本!
「オードリーの若林」と言った方が伝わるだろうか。
ここからは親しみを込めて「若林」と呼ばせてもらおう(失礼します)。
存在は知っているものの、普段ほとんどテレビを見ることがないので、
人物像的なものはぼんやりとしていました。
年上の方に恐縮ではあるけれど、愛らしい見た目の方だなくらい。
だから、こんなおもしろい文章を書かれると知ってびっくりです。
もちろん芸人さんなのでおもしろいに決まってるんだけど、
そういったお笑い的なおもしろさというよりは、
感じたことへの正直さと、荒削りなまでの表現力がおもしろかった。
とにかく人間味があっていい。
『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』という本です🐩🐕
この本は、2017年7月に刊行された単行本を文庫化したもので、
2020年10月に出版されている(なんと2024年9月時点で14刷!)。
今は2025年3月。
ということは、結構前に世に出た本だ。
なぜ今更になってこの本を手に取ったかというと、
美容院に置かれていた雑誌に載っていたから。
メインは若林がキューバを旅したときのお話で、
そのキューバというワードに心惹かれた。
わたしにとってのアナザースカイ。
それがキューバだから。
「行ってよかった国は?」と聞かれたら、断トツで「キューバ」と答える。
(ちなみに、日本と香港は居住したことがあるという時点でホームなので別枠)
わたしの旅行記は「キューバ」というカテゴリーにまとめているので、
ぜひそちらをご覧いただきたい。
(と言ったものの、肝心なキューバで感じたことを残していないことに今更気づいた、汗)
キューバの話は置いておいて…
若林の言葉で、わたしは心がすごく楽になった。
さっき話したように、そこに人間味があったから。
心の学びの発信をしていてさ、その界隈の人たちと関わっているとさ、
時々無性に窮屈に感じるときがあるの。
で、この本を読んで、その窮屈さの正体に気づいた。
それは、人間味を感じられないからだって。
もちろん魂の視点もわかる。
それが真理だということも。
魂の視点から見れば、終わりがないことも、詰むなんてことがないこともわかるけど、
わたしの中には、
「あ゛ーーー、こんな苦しい思いするなら、出会 / 出合わなきゃよかったぁぁぁ」
「あ゛ーーー、終わったぁぁぁ」
「あ゛ーーー、どうしていいかわからないぃぃぃ」
「あ゛ーーー、人生詰んだぁぁぁ」
みたいな自分もいるんだよね。
しかも、わたし自身、それを問題だとも思っていないし、
むしろ、愛おしい部分であるとさえ感じているんだけど、
「えっ、終わりません」
「えっ、詰んでません」
みたいなかんじの反応をされると、
何を感じてもいいはずなのに、感じてはダメなことがある気がして、
もどかしい気持ちになるし、心がサーーーッと冷たくなっていくのを感じる。
キューバの革命広場。本の中にも出てくるよ。
ディズニーの『ポカホンタス』という映画をご存知ですか?
あらすじはこんなかんじ。
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舞台は17世紀初頭のアメリカ。
主人公ポカホンタスは先住民族パウアタン族の娘。
旺盛な好奇心と豊かな知性に恵まれた彼女は、
イタズラ好きのアライグマのミーコとハチドリのフリットをお供に
豊かな大自然の中を自由に駆け回っています。
そんな彼女の前に現われたのはイギリス人探検家のジョン・スミス。
新大陸征服の野望を抱く彼でしたが、ふたりは出会った瞬間から互いに思いを寄せ、
生まれ育った環境や言葉の壁を超えて理解を深めていきます。
しかし富を狙う探検隊と先住民族の対立は激しくなるばかりで、
ふたりは争いをやめさせるために立ち上がるのでした。
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この映画の中で、ポカホンタスが言うんです。
「こんなに苦しむのなら出会わなければよかった」って。
その言葉に対してジョンは、
「僕は明日死んでもいい、君を知らずに100年生きるくらいなら」と返す。
わたしはね、どっちもわかる。
というか、どちらの気持ちもわたしの中にある。
もちろんジョンの言うことは真理だと思うし、
全てに通ずることだとも思うけど、
「こんな苦しい思いしたくなかった」
「それなら出会わなかったらよかった」
そう思えてくる自分もそのまんまにしておいたっていいよね。
自己啓発界隈では、そういった荒削りな部分が見えない。
そこに不自然さを感じるときがあるのです。
だから、若林の文章は「そのまんまでいこうぜ!」と言ってくれているようでホッとする。
この本の中にね、こんな一節があるんです。
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20代。
ぼくの部屋にはエアコンがなかった。
エアコンというものがこの世に誕生する前、
エアコンがないことが辛くて自殺した人間はいるだろうか?
ぼくはエアコンがないことが辛いのではなくて、
エアコンをほとんどの人が持っているのに、
自分が持っていないことが辛かった。
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きっと今やエアコンなんて当たり前にある、
いわゆる豪邸に住んでいるであろう若林が、
過去こんなふうに感じていた自分をただただそのまま認めて、
こうして本にしたためていることに安堵した。
比較してもいいし、それで辛いと思ったっていいじゃんか。
それすら許して生きていこうと。
だって、肉体を持っているんだから。
魂だけじゃない、人間だから。
何度もね、「スピリチュアル嫌いのぼくが〜」といったフレーズが出てくるのですが、
若林さん、たぶんスピリチュアルが嫌いなのではなく、
精神世界に傾倒し過ぎて、人間味をどこかに追いやってしまった人が嫌いなんじゃないかと。
そういう意味でいったら、ものすごい共感できるよ。
今、このタイミングでこの本に出合えてよかった。
若林さん、ありがとう。
(呼び捨てするの恐縮過ぎて、結局さん付け、笑)