「猫たちの引越し1」では、猫たちの香港輸送を決断した(決断できた)理由と、輸送に伴うリスクについてお話しました。
今回は、以下の3つと、猫たちの輸送を通して感じたことについて書き書きしますね。
● 輸入までの流れ
● 準備するもの
● 実際にかかった費用
前回、やることたくさんと、若干の脅しを入れましたが、業者さんが都度丁寧に案内してくださるので大丈夫!
飼い主は、覚悟と、少しばかりの経済力があれば、問題なし。
ここでは、大まかな流れと、注意点だけつかんでもらえたら。
● 輸入までの流れ(※ 猫の場合、2016年1月現在)
【約1ヵ月前〜】
1. 日本側 / 香港側 それぞれの業者への連絡
わたしがお世話になった業者さんと、その連絡先。
もしどちらも日通さんにお願いするのであれば、まず、日本側に連絡を入れると、香港へ繋いでくれる。
日本側と香港側で、別々の業者さんに依頼する方もいるようだけれど、わたしは同じ日通さんに頼んでよかったと思っている。
わたしを介さずとも、連携をとってくださっていたのでとても助かりました。
・ 日本側
日本通運株式会社 成田空港支店 国際営業第二課(輸出)
tel:+81-(0)476-32-8030
e-mail:nret-tyo@air.nittsu.co.jp
・ 香港側
香港日通 航空貨物支店
tel:+852-2305-7817
2. 見積もり
まずは、ペットの体重とサイズを伝えて、見積もりを依頼。
覚悟はしていたが、人間よりも高いという、とんでもびっくりな料金が提示される(「● 実際にかかった費用」をご参照)!
3. マイクロチップの挿入
ISO規格のマイクロチップの挿入が必要。
麻酔はしてくれたものの、ぶっとい針でマイクロチップを挿入されている姿に胸が痛む。
我が家の猫は、このとき、一緒に予防接種も行なった(「7. 予防接種」をご参照)。
4. 輸送代行の申込み
見積書の金額に同意できれば、日本側 / 香港側 それぞれにORDER SHEET / 輸入代行申込書 を提出。
5. Special Permit / 特別許可書 の取得
Special Permit / 特別許可書 とは、香港漁農自然護理署から発行されるもので、有効期限は6ヵ月。
下記書類を香港日通へ提出し、代理申請をしてもらう。
原本は、当日まで、香港日通さんが保管してくれる。
・ Authorization for Exercising of Special Permit / 特別許可書 代行申請申込用紙
・ 委任状2通(航空会社宛・香港漁農護理署宛)
・パスポート、または、香港IDのコピー
6. フライト予約
依頼する業者さんによっては、航空便の指定があるので注意が必要。
日通さんも、航空便の指定あり。
・ 土日祝日を除く、平日のみ
・ 香港日通で輸入手続きを代行する場合、成田発の午前便(ANA)に限定
・ 午前発のフライトの場合、フライト日前日(平日)の検査が必要
ということで、あっさりと出発日前日の成田空港入りが決定!
香港でこそ、業者さんにお願いしたいじゃありませんか!
それと、可能であれば、かかりつけの動物病院が開いている日に検疫を受けた方がよさそう。
書類に不備が見つかったときに、対処してもらえるので。
【〜14日前】
7. 予防接種
予防接種は、輸入日の14日から1年前の間に接種されたもののみが有効。
猫の場合、以下2つが必要(いわゆる4種混合ワクチン)。
・ Feline Panleucopaenia
・ Feline Respiratory Disease Complex
獣医師に、Vaccination Certificate / 予防接種証明書(英文)を発行してもらう。
香港は、輸入申請がおりない品種があるので注意が必要。
我が家の猫は2匹とも雑種なのだが、「MIX」では輸入許可書が受領されないとのこと。
日本猫の場合は、「DOMESTIC SHORT HAIR」もしくは「DOMESTIC LONG HAIR」と記入。
ちなみに、みつ子は前者、にゃんこ先生は後者でOKでした。
8. (日本の)動物検疫所へ生体検査の予約連絡
輸出日が確定したら、(日本の)動物検疫所に生体検査の予約を入れる。
予約を入れるのは、日通さんではなく、飼い主の役割なので要注意。
ここで、狂犬病予防法に基づく動物の輸出検査申請書 を提出。
・ 動物検疫所
成田支所 貨物検査課
tel:+81-(0)476-32-6655
e-mail:aqs.nrtcargo@maff.go.jp
web site:http://www.maff.go.jp/aqs/animal/
9. 輸送ツールの準備
輸送ツールを準備するのも、飼い主の役割。
準備するものは、以下の3つ。
・ ゲージ
IATA国際貨物輸送協会の基準をクリアしているゲージが必要。
本体は強化プラスチック製・木製、ドアは金属製、四面に換気口がある、上下が金属製のネジで止まっているなど、細かい規定がある。
また、中に入るペットの大きさに適合したサイズのものでなくてはならない。
サイズが十分でないと判断された場合は、航空会社から受託拒否されるので要注意。
不安になるのは、どのサイトにも「IATA国際貨物輸送協会の基準をクリアしています」との記載の後に、「国内外の空港・航空会社の独自の基準により、ご利用できない場合もあります」と書かれていること。
自信もって買えないじゃないかー。
ということで、日通さんにゲージの用意もお願いできないか問い合わせてみるも、一般よりも高い!高すぎる!
担当者さんにも、「こちらでの購入はおすすめできません」と言われてしまう始末、笑。
メーカーを尋ねてみると、Amazonなどでも手に入る「アイリスオーヤマ エアトラベルキャリー」でした。
高さ・横幅・奥行にそれぞれ十分余裕がないといけないようだったので、「ATC-530」という小型犬用サイズを用意。
無事受託してもらえて、本当によかった。
・ ノズル式給水器
ドアの外側にノズル式給水器をつけるように指示がある。
ゲージを調べていたら、おすすめ商品で出てきたので、「リッチェル ペット用 ウォーターノズル」に即決。
特に問題なし。
ただし、ペットが、ノズル式給水器に慣れていない場合、当日までに慣れさせる必要がある。
・ ペットボトル
ノズル式給水器につけるペットボトル。
猫たちの飲み水を入れるもの。
【14日前〜】
10. 獣医師による健康診断を受ける
Animal Health Certificate / 健康証明書 を発行してもらう。
獣医師署名日から14日間有効。
11. すべての書類を、日通・香港日通・(日本の)動物検疫所に送る
文字どおり、揃った書類すべてを上記3箇所に送り、事前チェックを受ける。
なんやかんやと漏れがあって、動物病院に何度も足を運ぶことになったので、できるだけ早めに動いておいた方がよいなと思った。
【前日】(所要時間:約1時間30分程度)
12. 動物検疫所(成田空港 貨物地区 官庁合同庁舎内)にて、検疫を受ける
輸出検疫終了後に、狂犬病予防法に基づく動物の輸出検疫証明書 を発行してもらう。
13. 日本通運株式会社 ペット受付窓口にて、書類の確認・支払いを行なう
検疫を受けた後に、日本通運株式会社 ペット受付窓口へ向かい(動物検疫所から徒歩圏内)、出国前の最終確認を行なう。
香港側の費用も日本で精算できるが、海外決済手数料(5,400円)が加算される。
・ クレジットカード:当日
・ 振込:輸送日の2営業日前まで
14. ペットホテルへ預け入れ
猫たちは、この日、成田空港内のペットホテルで1泊。
日通の担当者さんにゲージごと預ければ(1回分のごはんも)、ペットホテルへ連れて行ってくれる。
香港で会うまで、しばしのお別れ。
猫たちの心配をしすぎたか何なのか、わたしは、この日の夜、ずいぶんと体調がすぐれなかった、笑。
【出発日当日】(所要時間:約2時間程度)
15. 搭乗
航空会社証明書(ペットを飛行機に乗せる際、航空会社の機長が作成する書類)の発行・ペットの搭乗は、すべて日通さんが行なってくれるので、飼い主は、予約している便に搭乗するのみ。
香港に向かう約4時間程度の機内でも、何だか落ち着かず。
16. 香港到着後、Customer Services Counter(AATターミナル1階)にて、書類の確認・支払いを行なう
自分自身の入国手続き・荷物の受け取りなどを済ませて、Customer Services Counter(AATターミナル1階)へ移動。
AATターミナルは、旅客ターミナルから車で10分ほど離れた場所にある。
こちらで、香港日通の担当者さんと待ち合わせをし、書類の確認・支払いを行なう。
ちなみに、香港側の支払いは、現金または小切手のみで、クレジットカードが使えない。
17. 動物検疫所にて、検疫を受ける
Customer Services Counterすぐ横にある動物検疫所にて、検疫を受ける。
マイクロチップが正常に読み込めるかなどの確認を行なう。
ここでOKが出れば、晴れて愛猫たちの受け入れが完了!
前日に預けたのが15:00頃で、当日に会えたのが17:00頃だったので、丸一日の離れ離れ。
猫たちの入国の許可をもらい、(怯えてはいるものの)2匹の元気な姿が見れたときは、心からほっとしました。
「● 輸入までの流れ」でも書きましたが、飼い主が準備するものをまとめておきます。
● 準備するもの(※ 猫の場合、2016年1月現在)
実際にわたしが使用したフォーマットをリンクしてますが、業者さんがくださるものを優先させてくださいませ。
変更になっている場合や、依頼する業者によって異なる場合があるので。
【書類】
・ ORDER SHEET / 輸入代行申込書 (日通)
・ ORDER SHEET / 輸入代行申込書 (香港日通)
・ Authorization for Exercising of Special Permit / 特別許可書 代行申請申込用紙
・ 委任状2通(航空会社宛・香港漁農護理署宛)
・パスポート、または、香港IDのコピー
・ Vaccination Certificate / 予防接種証明書(英文)
・ Animal Health Certificate / 健康証明書
【輸送ツール】
・ ゲージ:アイリスオーヤマ エアトラベルキャリー
・ ノズル式給水器:リッチェル ペット用 ウォーターノズル
・ ペットボトル
● 実際にかかった費用
先人たちのブログを見たときは、まぁ驚きましたが、おかげさまで、覚悟ができたので助かりました。
とある方のブログに、猫ちゃん1匹の輸送に約25万円かかったとの情報があったので、2匹の我が家は、倍とはいかないまでも40万円くらいはするだろうと思っていたので、予想していたよりも少ない費用で済んで、逆にびっくりしたほどでした。
国内の移動と同じように考えていたらイカンのです。
準備に時間もかかれば、お金もかかる!それが、ペットの海外輸送です。
いいこと言った。
さて。
【合計】
227,589円
【内訳】
・ 日本側の輸送費用:114,843円
・ 香港側の輸送費用:70,416円(HKD4,694.40×@15円)
・ マイクロチップ 4,320円×2
・ ワクチン接種 6,264円×2
・ 証明書 3,240円×2
・ 文書料 3,240円×2
・ ゲージ 3,113円×2(2015年12月当時)
・ ノズル式給水器 988円×2(2015年12月当時)
どうでしょう?
もし!万が一!海外へ引越す可能性が出てきたら、これだけの準備をして、これだけの費用を支払います。
そして、何より、可愛くて大切なペットたちに、大変な思いをさせることになります。
今回、そのあたりもよくよく考えて、ペットをおうちに迎え入れた方がよいなと感じました。
実際に、猫たちとの引越しを経験してみて。
マイクロチップやワクチンを打たれている姿や、知らない場所で知らない人に囲まれて怯えている姿を見て、わたしのわがままで、2匹に大変な思いをさせてしまっているかもしれないと、柄にもなく結構悩んだりもしました。
特に、にゃんこさんが、到着してしばらく膀胱炎のような症状があったから、そのときはかなり胸が締めつけられる思いでした。
でも、2匹とも、初めての香港のおうちにも怯えることなく、食欲もばっちりで、粗相もほとんどしなかったので、思っていたよりもすぐに慣れてくれて安心しました。
今はもう、日本と変わらない様子で生活しています。
やっぱり連れてきてよかったと思う。
転勤の間だけといえど、寿命が20年ほどしかない猫たちとの、5年もの離れ離れは長すぎる。
そして、何より、仕事もなければ、近くに家族や友達もいない、そんな新天地で、わたしが猫たちの存在に救われています。
大変な状況を乗り越えてくれた2匹を、これからも大切に大切にすることを誓って、猫たちの引越しシリーズを終わります。
また、日本に帰るときも、がんばろうな。
camera:iPhone6
こてつ
今年秋に猫2匹連れて香港に引越しを予定しています。主人の仕事で初めての海外暮らし、人間はなんとかなるけど、ニャンズにはすごいストレスだろうなぁと思い、どうしたら少しでもラクチンに引越しできるか調べていたら、こちらのブログを見つけました。情報が具体的でとても参考になります!ありがとうございます。大変そうですが、やっぱり離れられないので、ガンバって準備しようと思いました。目下の心配はケージのサイズと、依頼する業者さんをどこにするか。日通さんは成田発ana午前便に限定なので、他に業者さんなら羽田発とかも選べるのかな、 とか、色々悩み中です。
ブログ、更新を楽しみにしています!
saya
こてつ 様
コメントをくださり、ありがとうございます:)
とても嬉しいです。
しかも、香港にいらっしゃるんですね!
ゲージのサイズはわたしも心配でした。
平均的なサイズの猫ちゃんなら、わたしが購入したサイズで大丈夫だと思うのですが。
やっぱり羽田の方が便利ですよね。
日通さんに何度か交渉しましたが、香港側での受入れができないと断られてしまいました。
便が限定されているところは不便でしたが、やりとりはかなり安心できたのでおすすめではあります…☆
こてつさんの猫ちゃんたちが無事香港で暮らせるように願っていますね!
何かお役に立てることがあれば、いつでもご連絡ください。