香港でカメラマンをしていたこともあって、
日本からの旅行者と接する機会がたくさんあった。
当時(2016年くらい)は、コロナもなかったし、
かつ、起業ブーム真っ只中だったからかなぁ…
「子連れ海外旅行、たくさんしてます!」
「子どもを預けて、香港に来てます!」
よくこんなフレーズを耳にした。
その頃、わたしには、まだ子どもがいなかったけれど、
そんな周りの人たちを見て、
「子どもが生まれても、
その存在に囚われない生き方をするぞ!」
そんな意気込んだ気持ちがあったように思う。
しかし、時は経ち、いざ息子が生まれてみると、
まーーーったくそんな気持ちが湧いてこないことに気づきました。
「旅行どころか、近所に出掛けるのも億劫!」
「できたら、家にいたい!」
そう、めんどくさいんです。
息子の分の支度をすることも、外出先でのお世話も。
そこに気を取られるくらいなら、どこにも出掛けず、
おうちの中で、心に余裕をもって、息子と過ごしたい。
そう感じる自分に気づいたときに、
「子どもに囚われない生き方って、一体何だろう?」
という疑問が湧いてきました。
子どもがいても、いろんなところへ行くこと?
子どもがいても、やりたいと思ったことは全部やること?
子どもが生まれる前と同じように生活すること?
それも一理あるかもしれない。
ただ、実際に感じていることとは、ちょっと乖離がある気がしている。
この間、東京に行ったとき、
銀座・丸の内周辺で、行きたいお店がいくつかありました。
東京駅のすぐそばに宿泊していたから、以前だったら、
銀座や丸の内なんて、ひょいっと行けてしまうほどの近距離。
でも、「息子が一緒だから」と諦めたんです。
このとき、不思議と気持ちが楽になったんですね!
子どもが生まれる前と同じように生きることこそよし!としていたら、
行きたい場所を諦めるなんてできなかったと思う。
心身共にしんどかったとしても、それに気づかぬふりして、実行に移していたか、
もしくは、やりたいことを諦めた自分を許せなくて、苦しくなっていたと思う。
本気で行きたい場所があるときは、めんどくささを超えられる。
でも、それは、「自由なわたし」になるためじゃない。
これは、広島に行ったときの写真。
ベビーシッターさんが手作りしてくれたおもちゃを食べる息子、笑。
やりたいことはいっぱいある!
行きたい場所もいっぱいある!
そして、息子と一緒にいたい気持ちもある!
それも、体力的にも、精神的も、ちゃーーーんと余裕をもった状態で!
「じゃあ、子どもを預けたらいいじゃん」
「面倒なことは、誰かに任せたらいいじゃん」
こう言うのは簡単だけれど、そうスパッと折り合いをつけられない、
割り切れなさみたいなものを感じる。
その割り切れなさも含めて、子育てはおもしろくて、楽しい。
「めんどくさい!」も、「ウザい!」も、「やりたいことができない!」も、
全部全部ひっくるめて、味わってみたいことだったんだ。
「子どもがいても自由」の、その「自由」を、
わたしは、少々はき違えていたのかもしれない。
息子が生まれて、確かに、以前のように動けなくなった。
息子が一緒だと、ちょっとの用事にも結構な労力を使う。
以前だったら簡単に行けたような場所も、諦めることが多い。
これを端的に表現するのなら、「不自由」かもしれないけれど、
その不自由を味わうことを許せる自分は、
最高に「自由」なのかもしれないと思う日々です。
そういえば、わたしは、
「子どもがいても自由なわたし」がしたいんじゃなくて、
「子育て」がしたいんだった。
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